今日紹介するのは、森沢昭夫さんの小説「海を抱いたビー玉」。
柔らかなタッチで描かれた、ボンネットバスと海の絵が素敵な本です。
この絵の通り、舞台は海に浮かぶ瀬戸内海の島、大三島。
登場するロケーションも、実在するものが多いです。
あらすじ
“神の島”と呼ばれる大三島で、運転手の親子と平和に暮らしていたボンネットバス。
しかし、彼はとある転機を迎え、時代を超えて数奇な運命を辿っていくこととなります。
タイトルにもなっており、本作のキーワードでもある不思議な青いビー玉。
各地を旅する中での、様々な人(?)との交流。
果たして、彼の旅の行く末にあるものとは…。
感想
冒険ものが好きでよく読んでいるのですが、これは実在する場所で起こったファンタジーです。
こんな舞台設定も、実際に行ってみたくなっていいと思いました。
各地で起こる、ボンネットバスと登場人物たちとの交流と別れ。
ボンネットバスの気持ちになって、胸が躍ったり、締め付けられたり…
一緒に旅しているように感じられる描写が、本当に良かったです。
登場人物の気持ちが暖かくて、交流場面でほっこりできるのも森沢さんの小説の良さだと思います。
私自身、物に感情があったらどうなるのかなー、とか考えがちな人間です。
なので、この話に出てくる「大切にした物には魂が宿る」という考え方にはかなり共感できました。
前に乗ってたライフ(ホンダの軽自動車です)を思い出して切なくなりました。
誕生日を祝ってくれたり、外気温を教えてくれたりした、本当にいい子だったんです。
その度に、「ありがとう」とか「今日の寒さはやばいねー」とか話しかけていたものです。
(もちろん、今乗ってるn-boxも居心地が良くて公園で読書の相手になってくれたり、好きな音楽をかけてくれるいい子です。)
あー…瀬戸内海行きたい!
しまなみ海道を巡って、大山祇神社の楠の声を聞いたり、福山の自動車時計博物館で丁寧にレストアされたクラシックカーに触れてみたいものです。
旅の中で、暖かな交流をしてみたいと思う方にはおすすめの本ですよ。
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