今回紹介するのは、村山早紀さんの小説“ルリユール”。
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メルヘン調の表紙がかわいらしい本。
書店で、話の内容を知らなかったのに吸い寄せられるように手に取ったのが思い出です。
文庫本としては厚みがある方ですが、続きが気になって一気に読み進めてしまったおすすめの一冊ですよ!
あらすじ
ルリユールを生業とする、風早の街にある洋館に住まう謎めいた女性・クラウディア。
彼女の手にかかればどんなに傷んだ本も元通りになるという。
そんな彼女のもとに、夢に導かれるようにたどり着いた少女・瑠璃。
そんな2人のもとを、思い思いの本を持って依頼人が訪れる。
彼らの交流はどんな奇跡を生むのだろうか?
そして、物語の最後で語られるクラウディアの謎とは…?
感想
この本のタイトルにもなっている“ルリユール”とは、本の修復や造本をする職人のこと。
昔のヨーロッパでは本が流通したばかりの頃は、仮綴のものが多く表紙も簡素なものだったため装丁を職人に依頼する文化があったそうです。
各章に出てくる依頼人たちは、それぞれの本に対して深い思いやエピソードを持ってやってきます。
また、瑠璃も複雑な事情を抱えた少女です。
それぞれの思いが交錯して紡がれる物語が切ないながらも優しくて、胸を打たれながら読みました。
そして、クラウディアの秘密も最後まで気になります。
魔法のような不思議な物語。
優しいファンタジーが読みたい方にはおすすめの一冊ですよ。
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